SupremeからLemaireへ:中国消費者の「ファッション変遷」
ファッションエクスチェンジ、2024年「グローバルファッションIPランキング」FASHION IP 100を6年連続で発表
2025.03

上海、2025年2月28日 — ファッションエクスチェンジ(Fashion Exchange)と第一財経商業データセンター(CBNData)が共同で制作した「2024年グローバルファッションIPランキング」が正式に発表されました。中国市場におけるグローバルファッションIPの総合的なパフォーマンスに焦点を当てた専門ランキングであり、両社が2019年に協力関係を結んで以来、6年連続の発表となります。オンライン消費データ、検索エンジンのトレンド、ソーシャルメディアの人気度などのビッグデータを活用し、年間の「中国消費者によるファッションブランドの選択と嗜好」を可視化する当ランキングは、中国のファッション消費トレンドの風向きを示し、グローバルブランドに、中国消費者のニーズを理解するための真の市場洞察を提供し、グローバルファッションブランドと中国市場をつなぐ架け橋となっています。

 

 

 

 

2024年、世界経済の成長鈍化と地政学的緊張の中で、中国のファッション消費市場は深い調整期に入り、緩やかに回復しつつあるも、消費の二極化が進み、ハイエンドな市場とコストパフォーマンス重視の消費者が共存しているのです。理性に戻る消費マインドの主導により、消費者はロゴそのものを買わない傾向にあり、コストパフォーマンスと情緒的価値を重要視する「コスパ革命」が主流になっています。また、審美性と精神的なニーズの向上により、スタイルを求める「コト消費」が台頭し、経済の変動と慎重な消費マインドが消費の本質を取り戻しています——ブランドはシンボリックなアイデンティティより、もはや自己表現の手段となりました。

 

ファッションデザイナーやアーティストとのコラボレーションとイノベーションをリードするプラットフォームとして、ファッションエクスチェンジは2017年に「ファッションIP」という概念を提唱し、「ファッションIPによるビジネス活性化」を核としたブランドコラボレーションとクロスオーバー協業モデルを開拓しました。製品イノベーションを中心に、ファッションIPとの協業を通じて、さまざまな業界のブランドむけに、中国市場における初めての「新製品」と影響力のあるイベントを創出し、ブランドの認知度と売上を両方向上させております。2024年「FASHION IP 100」ランキングのデータ分析を通じて、ランキング、地域、国、カテゴリーなどの多角的な視点から変化を探り、トレンドを見出し、未来を予測します。

 

 

 

 

2024年「グローバルファッションIPランキング」FASHION IP 100は、ファッションエクスチェンジインデックス(FX INDEX)データ評価システムに基づき、「CBNData消費影響力(アリババプオンライン消費データ)」、「WeChat、小紅書(シャオホンシュー)、百度Trends」、「小紅書、TikTok、Weiboにおけるソーシャルメディア人気度」の3つの次元からビッグデータを抽出し(統計期間:MAT2024年)、世界中の400以上のファッションIPを定量評価し、2024年に中国市場で商業的価値とブランド影響力を兼ね備えたトップ100のファッションIPを選出しました。過去5年間のランキングと比較して、2024年のトップ100は特にトップ10において大きな変化が見られました。アフターコロナの中国消費者によるファッションブランドへの注目度と消費ホットスポットの大幅な変化や、中国のファッション消費トレンドの変化を深く反映しているのです。

 

2024年「FASHION IP 100」の主なハイライト:

 

1.  LEMAIREが首位に:中国のファッション消費が「ストリートカルチャー」から「質感スタイル」へ

 

フランスのデザイナーブランドLEMAIREが初めて首位を獲得し、2021年にランキング入りして以来初めてトップ10に入りました。LEMAIREはランキング発表6年目で首位を獲得した4番目のファッションIPです。LEMAIREの躍進は、「ストリートカルチャー崇拝」から「自己スタイル構築」への中国の消費者の思考転換を示唆しています。そのような大きなトレンドの変化の中で、スウェーデンのブランドACNE STUDIOS、TOTEME、アメリカのブランドTHE ROW、韓国のブランドLow Classicなどもランクインし、LEMAIRE、ACNE STUDIOS、MAISON MARGIELAがトップ3を独占しました。

 

SUPREMEからLEMAIREへの首位交代は、消費者の意思決定軸が「見られること」への不安から「理解されること」への深い共感へとリセットされたことを示しています。リラックス感が、トレンドのシンボルを超えた新しいクールなラベルとなっています。

 

 

 

 

 

2. スタイル重視のブランドが台頭:スウェーデンブランドが勢いを増し、ストリートブランドとセレブリティ主導ブランドの影響力が低下

 

2024年、多くのラグジュアリーブランドが売上減少や成長鈍化に直面しており、クリエイティブディレクターやCEOの人事異動が頻発しました。一方、かつてはニッチだったデザイナーブランドが勢いを増し、消費者と市場から高い評価を得ています。1990年に設立されたLEMAIREは、現在世界中に6つの直営店を展開しており、過去2年間にもソウル、東京、成都に3店舗をオープンしました。2024年11月、OUR LEGACYは、LVMH Luxury Venturesのマイノリティ投資を受けたことを発表し、アメリカのデザイナーブランドTHE ROWは初の資金調達を完了し、評価額は10億ドルに達しました。フランスのデザイナーブランドJacquemusも拡大の兆しを示しており、マイノリティ株主の参入を積極的に模索しています。2024年のランキングでは、75のデザイナー/デザイナーブランドがランクインし、過去6年間で最高の割合を記録しました。また、2024年のトップ10は初めてデザイナー/デザイナーブランドが独占しました。

 

スウェーデンのブランドは特に勢いを増しており、ACNE STUDIOSとTOTEMEがトップ10入りを果たし、ACNE STUDIOSはLEMAIREに次ぐ2位を獲得しました。一方、ストリートブランドは苦戦を強いられました。2024年7月、アメリカのストリートブランドSUPREMEは15億ドルでEssilorLuxotticaに買収され、LVMHは故Virgil Ablohが2013年に設立したOff-Whiteを売却しました。さらに、セレブリティ主導のファッションIPも影響力が低下し、2024年は15件のみがランクインし、過去最低の割合となりました。

 

 

 

 

3.  アメリカ、中国、日本、フランスがリード:中国のファッションIPは衝撃の初のトップ10ハズレ

 

2024年のランキングでは、アメリカ(26)、中国(24)、日本(16)、フランス(13)の4カ国が全体の80%近くを占めており、そのうちフランスのファッションIPは大幅に増加し、13件がランクインし、過去最高の割合を記録しました。フランスのブランドLEMAIREとMAISON MARGIELAがトップ3のうち2席を獲得しました。中国は2024年のランキングで2番目に多くのファッションIPをランクインさせましたが、トップ10ハズレは初めてとなりました。

 

地域別では、アジアのファッションIPはやや不調で、ヨーロッパのファッションIPが引き続き勢いを増しています。2024年のトップ20では、アジアからのランクインは5件のみで、トップ10では1件のみでした。一方、ヨーロッパのファッションIPはトップ10の半数を占めました。中国のファッションIPは依然として活力を保っており、2024年の新規ランクイン数は減少したものの、16件の新規ランクインのうち9件が中国勢でした。注目すべきは、エディソン・チェンが率いるCLOTが2024年の中国ファッションIPトップ1となり、デザイナーブランドカテゴリーでの検索人気インデックスでもトップ1を獲得しました。

 

 

 

 

2019年以降、ファッションエクスチェンジが提唱するファッションIPの総合価値を定量評価するFX Indexと「FASHION IP 100」ランキングは、世界中のメディアやファッションIP、参考としてブランドから広く引用されています。当ランキングは、デザイナー、アーティスト、セレブリティ主導のファッションIPの中国市場における影響力と人気度を明確に示すだけでなく、中国のファッション消費トレンドと消費者の選択嗜好も反映しています。ファッションブランドにとって、当ランキングは中国市場と中国消費者をより深く理解し、効果的な製品とマーケティング戦略を策定する上で重要な参考価値を持っています。また、ファッションIPとのコラボレーションやクロスオーバー協業を通じて「バズ効果」や「破壊的イベント」を創出したい各業界のブランドリーダーにとって、強力なデータサポートと行動指針を提供しております。

 

ファッションエクスチェンジについて

 

ファッションエクスチェンジは、グローバルなファッションデザイナーやアーティストのコラボレーションプラットフォームです。2017年、アメリカファッションデザイナー協会(CFDA)の支援の下、ファッションエクスチェンジは「ファッションIP」という概念を初めて提唱し、「ファッションIPによるビジネス活性化」を核としたブランドコラボレーションとクロスオーバー協業モデルを開拓しました。現在までに、200人以上のトップデザイナーやアーティストと協力し、Fila Fusion x Team Wang Design、Absolut x SR_A、Alexander Wang x マクドナルド、Karl Lagerfeld x 青島ビールなど、数多くの有名ブランドとのコラボレーションやイベントを成功させています。

 

2019年以降、ファッションエクスチェンジはCBNDataと共同で「グローバルファッションIPランキング」FASHION IP 100を6年連続で発表し、中国のファッション消費市場のトレンド変化とベストコラボレーション事例を紹介する「グローバルファッションIP白書」も独自に発行しています。

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